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技術情報




鉛フリー半田対応 強制対流式N2リフロー装置
(株)大和製作所 澤田良敬


 産業廃棄物による環境問題が重視される中、鉛を含む半田を使用したプリント基板や電子デバイスの廃材が問題視されている。 10年前から鉛を含まない半田の開発が米国や日本を中心に盛んに行なわれてきた。 近年、その鉛フリー半田の技術的方向性が見えてきた。当然装置メーカである当社にも 鉛フリー半田の特性に合ったリフロー装置の開発が必要になってきた。

開発動向

 鉛フリーの開発動向としては、錫Sn−銀Ag−銅Cu半田(融点217℃)と錫Sn−亜鉛Zn半田(融点197℃)の2極化が見られたが、現状では錫−銀−銅に方向性が固まってきたと思われる。既にこの半田の特性は、文献等で明かなので詳細は省略したい。 鉛フリー半田の特性を簡潔にまとめると  @比熱が大きく、融点が高い。 A濡れ性が共晶に比べ悪い。 などがあげられる。  この錫−銀系は、通常のリフロー温度(230℃)でリフローした場合、充分な溶融時間が得られない為、半田の濡れ性が悪くなってしまう問題がある。 これはピーク温度を上げれば向上される。但しこれが従来の素材との関係で思う様にいかない為、鉛フリーリフローの難しさがあると考えている。詳しくは後述する。  以上の基本的な動向をもとに要素技術を以下にまとめた。

要素技術

1.融点
 鉛フリー半田は融点が高い為、温度プロファイル上ピーク温度を従来より高く設定しなければならない。但し、プリント板や搭載部品の限界温度より、例えばプリント配線板の場合では235℃位が限界となる。比較的熱に強い電子デバイスのプロセスにおいても250℃位が限界である。また、たとえピーク温度を上げられたとしても、従来よりもピーク時の部品間温度バラツキ(凾煤jが高くなってしまう危険性もある。そこで解決法として、ピークを上げられない分、半田の溶融時間(キープタイム)を長くとることで信頼性を確保し、凾狽熄kめられることを提案した。  また、高温活性(150~180℃)のフラックスを使用し、プリヒート部を高い温度にて均温化させることで、ピーク時の凾狽従来よりも小さくさせる方法なども提案した。 推奨プロファイルは、後記にて紹介する。

2.濡れ性
 濡れ性を確保する為に、こちらも同様にピーク温度を上げるわけにはいかないので、 やはりキープタイムを長く取ることで、濡れ時間を確保することを推奨した。 さらに不活性雰囲気(窒素雰囲気500ppm以下)にてリフローする事で、加熱による基板の表面の酸化を抑制し、濡れ性を確保させる方法もあげられる。 以下に上記要素技術を取り入れた具体的な装置の特徴をあげる。

ゾーン数の多ゾーン化

 多いに越した事は無いが、最低限の振り分けを考えると以下の様になる。
 1)昇温部 常温〜150℃ :1ゾーン
 2)均温部(プリヒート部)150〜180℃:2〜3ゾーン
  ※従来より高温域で均温化を図る場合は、3ゾーンが必要になる。
 3)リフロー部 180〜235℃ :2ゾーン
   ※ピークで均温化(フラット化)を図る為には、2ゾーンが必要。
 4)冷却ゾーン −1.5〜2℃/sec. :1〜2ゾーン
   ※熱容量が大きい基板には、2ゾーンは必要
 よって、合計で6〜8ゾーン(加熱5〜6、冷却1〜2)が必要と言える。
 熱容量の大きいワークや大型基板ほどゾーン数は、多く必要となる。(図1)



高温設定と不活性雰囲気

半田融点が高くなっている為、リフローのピーク温度も本来高くなるところだが、電解コンデンサやコネクタ部品など耐熱温度の弱いものが実装される場合やプリント板にしてもガラエポ基板や、特に紙フェノール基板は、ほとんどピークを上げることが出来ないのが現状である。但し、電子デバイス製造のユーザーに関して言えば、使用しているマテリアルがもともと実装部品として耐熱仕様となっている為、高温設定(240〜250℃ピーク)を設定できるケースが多い。いずれにせよ炉体設計としては高温設定を考慮して、炉体構造の歪みや熱風ファン駆動系の耐熱性に関する見直しが必要である。  次に炉内雰囲気については、共晶半田にいたっては、必ずしも不活性雰囲気での加熱は不可欠ではなく、どちらかと言えばファインパターンにおける濡れ性の向上や無洗浄における低残差半田の酸化抑制として窒素リフローを使用する程度であった。しかしながら今回の鉛フリー化においては、半田の塗れ性確保や高温化に対応して、低酸素濃度中で リフローする事が不可欠になった。酸素濃度については、ランニングコストからも適正な濃度の模索が必要とされる。当社では、錫(Sn)−銀(Ag)−銅(Cu)が採用された場合、その融点とキープ時間からみて500ppm以下での酸素濃度を推奨している。また、炉内酸素濃度のデータをフィードバックしながら窒素の供給量を変化させ、酸素濃度を常に一定に保つと言った制御も要求されてくるだろう。

凾狽フ最小化

 鉛フリー半田のリフローにおける最大のポイントが凾狽フ最小化である。前記でも述べたようにピーク温度を235℃以下に抑えた場合、凾狽ェ大きいと熱容量の大きい部品または温度の上がりにくいデバイスほど半田の溶融時間が不充分になってしまう。 この凾狽ヘ、搭載部品の種類にも寄るが、プリント板実装においては凾=10℃以下を必要とされる。(図2)
凾狽小さくする為には、機構的に3つのポイントがある。

1)強制対流方式の見直し
 従来の窒素リフロー炉は、炉内酸素濃度を安定化させるために炉内ファンは低速域にて 廻していたが、凾狽最小化するために炉内ファンの風量の増大と回転数の高速化を図らなければならない。また、上面方向からのみ熱風ブローしていたが、下部から熱風を当てることで凾狽小さくさせることも可能である。  但しこの場合に生じるの問題点として、基板内温度分布のバラツキと炉内酸素濃度の 乱れがある。面内分布のバラツキを抑える為には、基板の幅方向の風速を均一化させる事が重要である。当社の場合、整流板に工夫をこらし、シロッコファンから吹出される熱風を一旦整流し、循環させる構造にしている。酸素濃度乱れについては、以下の項目で述べる。

2)ラビリンスゾーン(パージゾーン)の見直し
 酸素濃度の乱れは、ファンの回転数がアップした時や基板が通過した時に起こる。 改善のポイントは以下の2点に絞られる。上下熱風を行なった場合は、更にそれが賢著に出る。
@ワーク通過時でも熱風が循環整流されるように熱風の通り道の抵抗を最小限にし、特にシロッコファンへの吸込み口には充分な開口を設けた。
A入口/出口のパージゾーン内のラビリンス(外気の侵入や窒素の大量流出を防ぐ為の迷路)の形状や数を増やす事で、窒素パージ効果をアップさせた。

3)均温プロファイルの推奨
 温度プロファイルからも凾狽小さくする事が可能である。それは前述したように ピークにて均温化を図ることである。通常、均温化とはプリヒート時に行なわれてきた。 プリヒートの役目は、フラックスの活性化の他に熱容量の異なる部品同士を均温化させる(異なる熱容量のものを等しい温度にする)目的も果たしている。これをピーク時にも利用するわけである。これはリフローゾーンを1ゾーン増やすことでできる。  ピークでのプロファイルのフラット化は、前述したように半田の濡れも確保出来ることから、濡れ性が悪い鉛フリー半田にはかなり有効であると言える。

急速冷却と冷却時間の延長

 最後に鉛フリー半田の問題点として、結晶強度の問題がある。
特に半田の融点を下げる為、ビスマスを組み合わせた場合(Sn-Ag-Cu-Bi融点197℃)は、結晶強度がさらに弱くなる。装置としてこれらを補う為に、急冷却を行ない結晶組織の微細化を図っている。半田結晶の微細化は、表面の艶や光沢をも向上させ、品質アップにもつながる。当社の場合、冷却部には循環式の水冷ユニットを内蔵している。冷却ゾーンの外部ケース及び内部にも冷却ブロックや冷却フィンを内蔵し、ブロック内部に冷水を流し、さらにプロペラファンにて内部を攪拌し、急速に基板を冷却している。(図3) 効果としては、実装デバイスやワークの熱容量にも寄るが通常1.5〜2℃の冷却勾配が可能である。大型基板用については、冷却ゾーンを2ゾーン設ける事で冷却時間を長くとれるようにしている。出口冷却温度は150℃以下を基準としている。  更にこの水冷効果を利用し、フラックスを液化して(または結晶化)回収している。 回収方法は、冷却ゾーンの低部をテーパーにし先端部にポリ容器を接続し、フラックスを常時回収している。結晶化してしまうフラックスについては、冷却ゾーンを開閉して掃除機にて吸引することで清掃できる。

今後の課題と方向性

 今後は、熱風循環の開発を更に進めていきたい。目標としては、部品間温度差(凾煤jをさらに縮め、5℃以下を目指したい。また多ゾーン化における装置の大型化が進むと思われるが、その中でも無駄なスペースを排除させ、装置のコンパクト化を図っていきたい。この場合には各ゾーンの分割長が、ポイントになってくると思う。消費電力(現状6ゾーンで47kw)についても、省エネ化を図る予定である。  今後、窒素リフロー装置は、今以上に普及されて行くと思われる。酸素濃度的には、1000〜500ppmでもリフロー可能なフラックスが選定され、従来より比較的高い酸素濃度で リフローされていくであろう。但し、高い濃度でも常に安定した酸素濃度が要求されると思われる。またシステム例として、窒素発生装置1台と複数台数のN2リフロー装置を組み合わせた使い方も多く出てくるであろう。  半田材料に関しては、Sn(錫)−Zn(亜鉛)系が普及された場合、低い融点(197℃)でのリフローが可能になる為、大気リフロー中おいてでも鉛フリー化を実現していく事が要求されてくると思われる。  いずれにせよ環境問題や人体保護の見地から鉛フリー化は、避けて通ることのできない課題であると認識し、当社の技術力を注いで行きたい。




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